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国際物流の専門業者の役割と相談のポイント

グローバルにビジネスを展開したいと考えているものの、「国際物流って何から始めればいいの?」「どんな専門家がいるの?」といった疑問を抱えている方は少なくありません。海外とのモノのやり取りには、国内輸送とは異なる複雑なルールや手続きがたくさんあります。

でも、安心してください。国際物流には、それぞれの専門分野を持つプロフェッショナルたちが存在します。彼らの役割を知り、適切に相談することで、初めての輸出入でもスムーズに進められるはずです。

この記事では、国際物流をサポートする主な専門業者の種類と、それぞれの役割、そして彼らにどんなことを相談できるのかを分かりやすく解説します。

国際物流を支える主な専門業者

国際物流は、まるでリレー競技のように、多くの専門家がバトンをつなぎながら貨物を目的地まで運びます。ここでは、その主要なプレーヤーたちをご紹介します。

1. フォワーダー(国際貨物利用運送業者)

フォワーダーは、「国際物流の総合プロデューサー」のような存在です。自社で船や飛行機を持っているわけではありませんが、荷主(あなた)の代わりに、最適な輸送手段(船便、航空便など)、ルート、運送会社、通関業者、保険会社などを手配し、国際輸送の全行程をコーディネートしてくれます。

  • 主な役割: 海上輸送や航空輸送の手配、貨物の集荷から海外の最終目的地までの輸送ルート選定、通関手続きや倉庫保管、現地配送の手配、必要な書類作成のアドバイスやサポート、輸送中のトラブル発生時の対応
  • こんなときに相談しよう: 輸出入の経験が全くなく、何から始めればいいか分からない、最適な輸送方法(船か飛行機かなど)やルートを提案してほしい、輸送、通関、配送まで、国際物流全体を一括で任せたい、初めての輸出入で、書類作成や規制に不安がある
  • 相談のポイント: あなたの貨物の種類(例:食品、機械、アパレル)や量、目的地に詳しいか、緊急時の連絡体制や、どれくらいのスピードで対応してくれるか

2. 通関業者(Customs Broker)

通関業者は、「税関手続きのスペシャリスト」です。海外とのモノのやり取りには、各国税関への申告が必要です。通関業者は、この税関への輸出入申告を荷主(あなた)に代わって行います。国家資格を持つ「通関士」が、複雑な関税計算や法律に基づいた正確な手続きを担います。

  • 主な役割: 税関への輸出入申告書作成と提出、貨物の品目に応じた正しい関税率(HSコード)の適用、輸入禁止・規制品目の確認と、必要な許可・承認の取得サポート、税関検査への立ち会いと対応
  • こんなときに相談しよう: 特定の貨物(食品、医薬品、化学品など)の通関手続きに不安がある、自社製品の関税率やHSコードの分類に自信がない、自由貿易協定(FTA/EPA)を利用して関税を安くしたい、通関手続きだけをプロに任せたい
  • 相談のポイント: あなたの貨物の種類や、輸出入を考えている国の税関ルールに詳しいか、通関手続きのスピードや、税関との連携体制

3. NVOCC(非船舶運航業者)

NVOCCは、「海上混載輸送の専門家」です。「Non-Vessel Operating Common Carrier」の略で、自社で船を所有せずに、船会社から大きな輸送スペースをまとめて確保し、それを小分けにして荷主(あなた)に提供します。特に、コンテナ一本に満たない「小口貨物」を複数の荷主から集めて一つのコンテナで運ぶ「混載輸送」を得意としています。

  • 主な役割: 複数の荷主の小口貨物を集めて、効率的に海上輸送する(混載輸送)、荷主に対して自社名義の船荷証券(B/L)を発行し、輸送責任を負う、船会社から大量にスペースを仕入れることで、比較的安価な運賃を提供する
  • こんなときに相談しよう: コンテナ一本には満たない少量(小口)の貨物を船で運びたい、輸送コストを抑えながら、定期的に海外へ商品を発送したい、混載輸送でも品質に問題がない貨物を取り扱っている
  • 相談のポイント: 得意な航路や港、取り扱い可能な貨物の種類、混載輸送の料金体系やスケジュール

4. 総合物流企業(3PL:Third Party Logistics)

3PLは、「物流業務全般のアウトソーシングパートナー」です。「Third Party Logistics」の略で、企業の物流業務全体(倉庫での保管、在庫管理、国内・海外の輸送、配送、情報システムの運用など)を包括的に請け負います。国際物流においては、輸入後の国内配送や、海外拠点での物流管理などを任せられます。

  • 主な役割: 国内外の倉庫での保管、入出庫管理、在庫管理、ピッキング、梱包、流通加工(ラベル貼りなど)、国内配送や、海外から輸入された貨物の最終消費者への配送、物流システムを活用した効率化と状況の可視化、企業の物流戦略の立案や改善提案
  • こんなときに相談しよう: 海外から輸入した商品を、国内の倉庫で一時的に保管したい、在庫管理から配送まで、物流業務全体をアウトソースして、社内の手間を省きたい、EC(電子商取引)や多拠点での物流を効率化したい、自社に物流の専門部署や人材がいない
  • 相談のポイント: あなたの貨物の種類(例:冷蔵品、危険物)に対応できる倉庫や設備があるか、どれくらいの規模の物流業務に対応できるか、物流の状況を共有するシステムがあるか

5. 商社・貿易会社

商社や貿易会社は、「国際取引の仲介役」です。単にモノを運ぶだけでなく、海外の取引先の開拓から、売買契約の交渉、代金の支払い・回収、そしてその後の物流手配まで、国際取引のあらゆる側面を一括して代行してくれます。

  • 主な役割: 海外の仕入れ先や販売先の紹介、交渉代行、輸出入契約の締結、決済手続きの代行、為替リスクの管理、必要に応じて、フォワーダーなどを用いて物流手配を行う、輸出入に関する市場情報や法規制に関するアドバイス
  • こんなときに相談しよう: 海外との商談や契約交渉に不安がある、新しい海外の販売先や仕入れ先を見つけたいが、現地の商習慣が分からない、輸出入の経験が全くなく、契約から物流まで全てまとめて任せたい、自社名義での海外取引のリスクをできるだけ避けたい
  • 相談のポイント: あなたの取り扱う製品や、取引を考えている国に強い実績があるか、取引の進め方(商社が商品を買い取るのか、仲介役としてサポートするのか)が、あなたの希望に合っているか

6. 国内輸送業者

国内輸送業者は、「国内の陸上輸送のプロ」です。トラックや鉄道などを使って、日本国内の港、空港、倉庫、工場、そして最終的な納品先まで、貨物を運びます。国際物流では、輸出する貨物をあなたの会社から港や空港へ運んだり、輸入した貨物を港や空港からあなたの会社やお客様の元へ届けたりする際に利用します。

  • 主な役割: 日本国内での貨物の集荷・配送、港や空港と倉庫間の輸送(ドレージ)、冷凍・冷蔵品、危険物、大型貨物など特殊な貨物の輸送、輸送ルートやスケジュールの最適化
  • こんなときに相談しよう: 自社の倉庫から港や空港まで貨物を運びたい、輸入した貨物を、日本の最終的なお客様のところまで配送したい、特定の時間までに貨物を届けたいなど、細かな時間指定がある、冷蔵・冷凍品など、特別な車両での輸送が必要な貨物を扱っている
  • 相談のポイント: あなたの会社の場所や届けたい場所への輸送実績があるか、あなたの貨物の種類や量に対応できる車両を持っているか、チャーター便(あなたの貨物専用)と路線便(他の貨物と混載)のどちらが良いか、費用と納期を比較して相談してみましょう

7. 貿易コンサルタント

貿易コンサルタントは、「国際ビジネス戦略の知恵袋」です。単に輸送や通関の実務を代行するのではなく、企業の輸出入業務がスムーズに進むよう、専門的な知識と経験に基づいたアドバイスや戦略的な支援を行います。社内の貿易体制構築や、法制度の活用、トラブル予防などもサポートしてくれます。

  • 主な役割: 輸出入業務の新規立ち上げや、既存業務の改善アドバイス、自由貿易協定(FTA/EPA)の活用による関税削減のアドバイス、輸出入に関する法規制や国際的な取引ルールの解説、社内人材の育成や、業務マニュアルの作成サポート、補助金申請や公的支援制度の活用に関する助言
  • こんなときに相談しよう: これから輸出入を始めたいが、全体像を理解し、準備を進めたい、貿易部門を新しく立ち上げたいが、ノウハウが不足している、特定の貿易制度(例:FTA)を活用してコストを削減したい、社内で貿易に関するトラブルや不備が続いているため、仕組みを見直したい
  • 相談のポイント: あなたの課題(例:制度活用、実務指導、特定国の情報)に詳しいか、スポットでの相談が可能か、継続的なサポートも依頼できるか

スムーズな国際物流を実現するための相談のコツ

多くの専門業者がいる中で、自社にぴったりのパートナーを見つけるためには、いくつかのコツがあります。

1. 自社の目的と課題を明確にする

まずは、「なぜ国際物流をしたいのか」「どんな商品を、どこへ、どのくらいの頻度で送りたいのか」「今、何に困っているのか」を具体的に整理しましょう。目的がはっきりしていれば、どの種類の業者に相談すべきか、そしてその業者に何を質問すべきかが明確になります。

2. 複数の業者に話を聞いて比較する

同じ専門業者でも、会社によって得意分野やサービス内容、料金は異なります。最初から一社に決めずに、複数の業者に連絡を取り、見積もりや提案を比較検討することが非常に大切です。

  • 比較する際のチェックポイント: 費用(何が含まれているか、追加費用はないか)、対応力とスピード(見積もり回答や緊急時の対応)、専門性と実績(貨物や国への詳しさ)、コミュニケーション(説明の分かりやすさ)、トラブルへの対応(報告体制や解決への協力)

複数の意見を聞くことで、より信頼できるパートナーを見つけられるでしょう。

3. 疑問点は積極的に質問する

国際物流は専門用語が多く、初めての方には分かりにくい点もたくさんあります。「こんなこと聞いていいのかな?」と遠慮せず、どんな小さな疑問でも積極的に質問しましょう。曖昧な点を残したまま進めると、後で大きなトラブルや余計なコストにつながることもあります。あなたの質問に丁寧に、分かりやすく答えてくれる業者は、信頼できるパートナーの証です。

国際物流は複雑に見えますが、それぞれの分野のプロフェッショナルたちがあなたのビジネスを強力にサポートしてくれます。この記事が、あなたが国際ビジネスの第一歩を踏み出す上で、最適なパートナーを見つけるための一助となれば幸いです。

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