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HSコードとは?輸出入で必須の関税分類番号をわかりやすく解説

HSコードの概念図

輸出入ビジネスに携わっていると、必ず耳にする「HSコード」という言葉。これは、世界中の商品を特定の番号に分類するための世界共通のルールです。この番号一つで、その商品に課せられる関税率が決まったり、輸出入の規制対象かどうかが判断されたりします。もしHSコードを間違えて申告してしまうと、後から追加で関税を支払うことになったり、貨物が税関でストップしてしまったりと、深刻なトラブルに発展しかねません。

この記事では、「HSコードとは何か?」という基本的な知識から、具体的な調べ方、間違えた場合のリスクまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。貿易実務の第一歩として、HSコードの基礎をしっかりマスターしましょう。

1. HSコードとは?なぜ貿易に不可欠なのか

HSコードの定義

HSコード(Harmonized System Code)とは、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)」に基づいて、あらゆる物品に付けられた固有の番号です。国際貿易商品の名称・分類を世界的に統一する目的でWCO(世界税関機構)が制定したもので、「輸出入統計品目番号」とも呼ばれます。

現在、日本を含む200以上の国と地域がこのHS条約に加盟しており、輸出入申告の際には、このHSコードを税関に提出することが義務付けられています。

HSコードの役割と重要性

HSコードは、主に以下の3つの重要な役割を担っています。

  • 1. 関税率の決定: HSコードによって、その商品に課せられる関税率が決定されます。同じ商品でもHSコードが違えば関税率が変わり、納税額に直接影響します。
  • 2. 輸出入統計の作成: 国ごとの貿易統計はHSコードを基に作成されます。これにより、どの商品がどれだけ輸出入されているかを正確に把握できます。
  • 3. 各種規制の判断: 特定の動植物や化学物質、武器など、輸出入に際して法律や条約による規制(許認可が必要、輸出入禁止など)がある品目かどうかを判断するためにもHSコードが使われます。

このように、HSコードは単なる商品番号ではなく、関税行政や国際貿易政策の根幹を支える、非常に重要なインフラなのです。

2. HSコードの構造【6桁が世界共通】

HSコードは、原則として6桁の数字で構成されており、この6桁が世界共通の番号です。商品は大きな分類から小さな分類へと、階層的に分類されています。

  • 上位2桁(類 / Chapter): 商品の大まかな分類。例えば「08類」は「食用の果実」です。
  • 上位4桁(項 / Heading): 類をさらに細分化した分類。「0808項」は「りんご、なし及びマルメロ」です。
  • 上位6桁(号 / Sub-heading): 項をさらに細分化した分類。「0808.10」は「りんご」です。ここまでが世界共通です。

【ポイント】
7桁目以降は、各国が国内の統計や関税政策のために、さらに細分化した番号を設定しています。例えば、日本の場合は、6桁の後に3桁を追加した合計9桁(場合によっては10桁)で運用されています。輸出入申告の際は、この各国のルールに合わせた桁数のコードを使用する必要があります。

3. HSコードの調べ方【3つの方法】

自社の商品がどのHSコードに該当するのかを調べるには、主に3つの方法があります。

方法1:税関の「実行関税率表」で調べる

最も正確で公式な方法は、税関のウェブサイトで公開されている「実行関税率表(Webタリフ)」を使って調べることです。

  • メリット: 情報が正確で、最新の関税率や法令を確認できる。
  • デメリット: 専門用語が多く、分類ルール(通則)の理解が必要なため、初心者には難しい場合がある。
  • 調べ方: 商品の材質や用途から該当しそうな「類」を見つけ、そこから「項」「号」へと順番にたどっていき、最も的確な品目を探します。
税関 実行関税率表(Webタリフ) →

方法2:オンラインのHSコード検索ツールを使う

キーワード検索でHSコードの候補を探せる民間のウェブサイトも存在します。

  • メリット: 商品名などのキーワードで手軽に検索でき、当たりをつけやすい。
  • デメリット: あくまで参考情報であり、最終的な正確性は保証されない。必ず公式情報で再確認が必要。

方法3:専門家(通関業者・フォワーダー)に依頼する

HSコードの特定に迷ったら、通関のプロである通関業者やフォワーダーに相談するのが最も確実で安全な方法です。

  • メリット: 専門知識に基づき、正確なHSコードを特定してくれる。分類が難しい複雑な商品でも対応可能。時間と手間を大幅に削減できる。
  • デメリット: 費用がかかる場合がある(ただし、多くの場合は輸送業務の一環として対応してくれる)。

専門家に依頼する際は、商品の仕様書、カタログ、成分表、写真、用途など、できるだけ詳細な情報を提供することが、正確な分類に繋がります。

4. HSコードを間違えるとどうなる?知っておくべきリスク

もし誤ったHSコードで申告してしまうと、意図的でなくても以下のようなペナルティやトラブルが発生する可能性があります。

  • 追徴課税・延滞税の発生: 本来より低い関税率で申告していた場合、税関の事後調査などで発覚すると、不足分の関税に加えて「過少申告加算税」や「延滞税」といった追徴課税が課せられます。
  • 輸送の遅延・貨物の差し止め: 税関審査でHSコードの誤りが指摘されると、正しいコードが確定するまで貨物が港や空港で差し止められ、納期遅延の原因となります。その間の倉庫保管料なども自己負担となります。
  • 法令違反による罰則: 特に、意図的に関税を安くするために虚偽の申告をしたと判断された場合は、関税法違反となり、重い罰金や懲役が科される可能性もあります。
  • 信頼の失墜: 税関からの評価が下がり、今後の輸出入申告で検査対象になりやすくなったり、取引先からの信頼を失ったりする恐れがあります。

5. HSコードを特定する際の注意点

HSコードの分類は非常に奥が深く、単純ではありません。特に以下の点に注意が必要です。

  • 商品の「主たる機能」や「材質」で判断する: 見た目が似ていても、何で作られているか(プラスチック製か金属製か)、またはその商品の最も重要な機能は何か、によって分類が全く異なる場合があります。
  • 加工度合いで分類が変わる: 同じ材料でも、原材料の状態なのか、半製品なのか、完成品なのか、その加工度合いによってHSコードは変わります。
  • セット品やキット品の分類は複雑: 複数の異なる物品がセットになっている商品は、どの物品が「主たる特性」を持つかなど、特別なルールに基づいて分類する必要があり、判断が難しいケースが多いです。

また、HSコードと密接に関わる貿易条件「インコタームズ」や、関税削減に繋がる「EPA/FTAの活用」についても理解を深めておくと、より有利に貿易取引を進めることができます。

HSコードに関するよくある質問(Q&A)

Q1. HSコードは誰が、いつ決めるのですか?

A. HSコードは、輸出者(またはその代理の通関業者)が輸出通関の際に申告します。輸入国側でも、輸入者が輸入通関の際に申告しますが、国によって解釈が異なり、輸出時と輸入時でHSコードの判断が変わる場合があるため注意が必要です。最終的な判断は、それぞれの国の税関が行います。

Q2. 輸出時と輸入時でHSコードが違うことはありますか?

A. はい、あり得ます。世界共通なのは6桁までであり、7桁目以降の国内細分や、各国税関の解釈の違いによって、輸出入国間でHSコードが異なる場合があります。特に関税率に大きな差が出る場合は、輸入国側のHSコードを事前に確認しておくことが重要です。

Q3. HSコードの分類がどうしても難しい場合はどうすればいいですか?

A. 自己判断で誤ったコードを申告するリスクを避けるため、必ず専門家である通関業者やフォワーダーに相談してください。また、税関に対して「事前教示制度」を利用して、あらかじめ文書でHSコードの照会を行い、回答を得ておくことも可能です。これにより、申告後のトラブルを未然に防ぐことができます。

HSコードの特定に迷ったら「ロジミーツ」で専門家を探そう

HSコードの特定は、時に高度な専門知識を要する複雑な作業です。少しでも判断に迷う場合は、自己判断で進めてリスクを冒すよりも、通関のプロフェッショナルであるフォワーダーに相談するのが最も賢明な選択です。

「ロジミーツ」は、貴社の貨物情報や輸送ニーズを登録するだけで、経験豊富なフォワーダーから直接、見積もりや提案を受けられるマッチングプラットフォームです。HSコードの特定はもちろん、複雑な輸出入手続き全体をサポートしてくれる、信頼できるパートナーがきっと見つかります。

まとめ:HSコードの正確な特定が貿易成功の鍵

HSコードは、安全でスムーズな国際貿易を行うための、世界共通のパスポートのようなものです。その重要性を正しく理解し、正確なコードを申告することは、コンプライアンス遵守はもちろん、ビジネスを予期せぬリスクから守る上で不可欠です。

この記事で紹介した調べ方を参考にしつつ、少しでも不安や疑問があれば、決して自己判断せず、信頼できる通関業者やフォワーダーに相談しましょう。専門家の力を借りることが、結果的にコストと時間を節約し、ビジネスを成功に導く一番の近道となります。

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