ベトナムからの輸入は、仕入先の所在地、商品の仕様、取引条件を確認するところから始まります。「ベトナムから日本まで」の運賃だけでは、工場での集荷から倉庫への納品までの費用や日数は分かりません。
この記事では、事業用貨物を日本に輸入する担当者向けに、出荷地域に応じた輸送手配と、見積もりを比べるための準備を説明します。商品を販売・使用するための条件は、発注前に確認しましょう。
1. ベトナムの出荷地域と港を確認する
まず仕入先から、実際に貨物を引き渡す工場・倉庫の住所を取り寄せます。請求書に記載された会社所在地と、集荷先が同じとは限りません。
| 出荷地域の例 | 海上輸送の相談先となる港の例 | 確認事項 |
|---|---|---|
| ハノイ周辺など北部 | ハイフォン周辺 | 工場から搬入先までの集荷費用と、貨物の搬入締切 |
| ホーチミン周辺など南部 | カットライなど | 利用するターミナル・混載倉庫と、見積もりに含む現地作業 |
| 複数地域の仕入先 | 各出荷地に応じて検討 | 別送する場合と、一か所へ集める場合の総額・出荷待ち日数 |
港の候補は、JETROのASEAN物流調査と、運営会社のカットライターミナル案内で確認できます。JETRO資料は過去の調査のため、現行の航路・料金・施設の取扱条件は予約時に確認してください。
同じ「ホーチミン発」の見積もりでも、工場集荷を含むか、指定倉庫への持ち込みから始まるかで負担が変わります。インコタームズと指定場所を、商品代金の見積書と輸送見積書で揃えましょう。
2. 海上・航空輸送と所要日数の考え方
納期に余裕のある貨物は海上輸送、急ぎの補充やサンプルは航空輸送・国際宅配便を比較候補にします。海上輸送では、コンテナを他の荷主と共有するLCLと、コンテナ単位のFCLを検討します。重量だけで決めず、容積や荷扱い条件も伝えます。
| 工程 | 確認する予定 |
|---|---|
| 出荷準備・集荷 | 工場の貨物完成日、検品完了日、集荷可能日 |
| ベトナム側の手配 | 搬入締切、輸出手続き、出港・出発予定 |
| 国際輸送 | 直行・積み替えの別、日本への到着予定 |
| 日本側の手配 | 混載貨物の取り出し、輸入通関、配送予約、納品予定 |
「船で何日か」と「倉庫にいつ届くか」は別の質問です。希望納品日を伝え、各工程を含めて間に合うか確認してください。定期便の待ち時間や検査の有無で変動するため、国名だけから一律の日数は決められません。
仕入先には、旧正月(テト)などの休業予定も確認しておきます。工場、集荷会社、倉庫それぞれの休業日と最終受付を聞き、貨物が完成していても搬出できない期間がないか整理しましょう。
3. ベトナム輸入の費用は納品先までの総額で比べる
同じ貨物条件で、次の費用が含まれるかを各社に確認します。商品代金に含まれる費用と、物流会社に別途払う費用を分ければ、二重計上を避けられます。
- ベトナム側:工場からの集荷、輸出通関、倉庫・ターミナルでの作業、書類作成。
- 国際輸送:海上・航空運賃、割増料金、必要に応じた貨物保険。
- 日本側:港・空港の取扱費用、通関料、倉庫までの配送、荷卸し。
- 税金・条件付き費用:関税・輸入消費税、検査、保管、配送の待機など。
LCLでは容積に加えて最低料金や到着側の費用、FCLではコンテナ配送と返却条件を確認します。詳しくはLCLとFCLの比較、箱の寸法から荷量を求める方法はCBM計算ガイドで説明しています。
見積書には、有効期限、通貨、換算レートの扱い、含まれない費用、追加費用が発生する条件を記載してもらいましょう。運賃だけが安くても、納品までの総額が安いとは限りません。
4. 必要書類とEPA利用の確認事項
インボイス、パッキングリスト、B/L・海上運送状またはAWBを中心に、取引価格や運賃を確認できる資料を揃えます。商品によっては別の許可・承認等も必要です。提出書類は税関の輸入申告書類の案内を確認し、出荷前に通関業者とすり合わせてください。
ベトナムから届く貨物でも、自動的にEPA税率になるわけではない
ベトナムとの貿易では、日ベトナムEPA、日ASEAN包括的経済連携協定、CPTPP、RCEPなどが検討対象になります。利用できる協定・税率・証明方法は、品目と原産地の条件によって異なります。税関の協定別資料で確認できます。
仕入先の住所だけで原産地は判断できません。商品の材質・用途からHSコードを確認し、製造工程や材料の情報を仕入先から取得して、原産地規則を満たすか検討します。証明に必要な資料を誰が用意するかも発注時に決めてください。手順は税関のEPA利用案内を参照してください。
例えば衣類なら素材や編み方、食品なら原材料や製造工程を先に整理します。「衣類」「食品」という大分類だけで、税率や日本での輸入・販売条件を判断しないようにしましょう。
5. 発注前から納品までの手順
- 発注前:仕様書とサンプルを確認し、日本での輸入・販売条件、原産地資料の入手可否を調べる。
- 契約時:指定場所を含む取引条件、検品方法、完成日、不良品への対応を決める。
- 輸送手配:梱包後の寸法・重量を共有し、集荷から納品までの見積もりを取得する。
- 出荷前:書類の品名・数量・価格と実際の貨物を照合し、搬入締切を確認する。
- 到着前後:通関と配送を手配し、納品時に数量・外装・破損を確認する。
複数工場の製品をまとめる場合は、最後の工場の完成待ちで全体が遅れないか確認します。急ぎの分だけ航空輸送にする案と全量を海上輸送する案を、追加費用も含めて比較すると判断しやすくなります。
6. ベトナム輸入の見積もり依頼例
以下は記入方法を説明する架空の例です。実際の貨物情報に置き換えて利用してください。
相談内容:ホーチミン市内の工場から大阪府内の倉庫へ、綿製の布バッグを輸入したい。
荷姿:段ボール20箱、各60×40×40cm、総重量200kg、合計容積1.92m³。電池・液体なし。
条件:EXW(工場の指定住所)。工場集荷・現地輸出手続きを含めて対応可否を確認したい。貨物完成日と希望納品日を別途提示。
比較したいこと:LCLでの納品までの総額と予定日。日本側の費用、税金の扱い、EPA利用時に仕入先が用意する資料。倉庫の受入時間と荷卸し設備も共有する。
品名だけでなく材質・用途を伝えると、必要な確認を進めやすくなります。見積もりの揃え方は輸入見積もりガイドも参照してください。
7. よくある質問
ベトナムから少量でも輸入できますか?
小口貨物は国際宅配便や航空貨物、LCLなどを比較できます。各サービスで商品・寸法・重量の受付条件が異なるため、購入前に確認してください。少量では最低料金の影響も大きくなります。
ベトナム産なら関税はゼロになりますか?
一律にはなりません。品目、適用する協定、原産地規則や手続きによって異なります。通常の税率も確認した上で、EPAを利用する場合の負担と合わせて検討します。
中国からの輸入と同じ物流会社に頼めますか?
ベトナムでの集荷・輸出手配に対応できるか確認してください。既存の依頼先でも、対応地域や現地費用が変わるため、新しい出荷地の条件で見積もりを取り直します。
参考情報と関連ガイド
制度・港湾情報は本文中の税関・JETRO・港湾運営会社の資料を参照しています(確認日:2026年9月24日)。税率・手続きは輸入時点、運賃・スケジュールは予約時点の情報をご確認ください。