海外から貨物を輸入すると、関税に加えて消費税と地方消費税(以下、まとめて輸入消費税)がかかります。関税がかからない品目でも、輸入消費税は原則としてかかるため、仕入れの予算や資金繰りに影響します。
輸入消費税は、①関税を含めた金額に税率を掛けて計算し、②輸入許可の前に納付し、③課税事業者であれば仕入税額控除の対象になるという点を押さえておきましょう。
1. 関税と輸入消費税の違い
| 項目 | 関税 | 輸入消費税 |
|---|---|---|
| かかる品目 | 品目と原産国によって税率が異なり、無税の品目もある | 原則としてすべての輸入貨物 |
| 税率 | 品目ごとの税率(EPAで下がる場合あり) | 標準税率10%、軽減税率8%(飲食料品など) |
| 計算の基準 | 課税価格(一般にCIF価格) | 課税価格+関税+個別消費税 |
| 控除 | なし(原価に含める) | 課税事業者は仕入税額控除の対象 |
関税の計算は関税の計算方法にまとめています。
2. 計算方法と具体例
輸入消費税の課税標準は、関税の課税価格に、関税額と、酒税などの個別消費税の額を加えた金額です。
課税標準 = 課税価格(CIF価格)+ 関税 + 個別消費税
標準税率10%のうち、消費税(国税)は7.8%、地方消費税は消費税額の22/78です。軽減税率8%の場合は、消費税6.24%、地方消費税は消費税額の22/78です。課税標準は千円未満、税額は百円未満を切り捨てて計算します。
計算例(標準税率・関税率5%の場合)
課税価格(CIF):1,000,000円
関税:1,000,000円 × 5% = 50,000円
課税標準:1,000,000円 + 50,000円 = 1,050,000円
消費税(国税):1,050,000円 × 7.8% = 81,900円
地方消費税:81,900円 × 22/78 = 23,100円
輸入消費税の合計:105,000円(関税と合わせて155,000円)
この例は計算の流れを示すためのもので、実際の税額は品目・税率・為替レートなどによって変わります。課税価格の外貨換算には、税関が公示するレートが使われます。
3. 納付の方法と期限の延長
輸入消費税は、関税と同じく、原則として輸入許可の前に納付します。通関業者が立て替えて納付し、後日請求するケースも多くあります。
- 直接納付:輸入者が金融機関や電子納付で納める方法。
- 納期限の延長:担保を提供することで、納期限を延ばせる制度があります。月ごとにまとめて延長する方法(包括延長)と、申告ごとに延長する方法があります。
- 特例申告:税関長の承認を受けた輸入者(AEO事業者)は、貨物の引き取り後にまとめて申告・納税できます。詳しくはAEO制度の解説をご覧ください。
輸入の頻度が高い場合、通関業者の立替には手数料がかかったり、立替できる金額に上限があったりします。資金繰りに合わせて、納付の方法を検討しましょう。
4. 仕入税額控除と輸入者名義の注意点
課税事業者は、輸入時に納めた消費税を、売上にかかる消費税から差し引くこと(仕入税額控除)ができます。その根拠となるのは、税関が発行する輸入許可通知書です。
仕入税額控除を受けられるのは、原則として輸入申告の名義人(輸入者)です。輸入代行業者の名義で輸入すると、実際に商品を仕入れた自社では控除を受けられない場合があります。名義の決め方は輸入代行とフォワーダーの違いもご覧ください。
インボイス制度のもとでも、輸入消費税の控除には輸入許可通知書などの保存が必要です。通関業者から届く書類を、案件ごとに保管しておきましょう。貿易書類の管理方法も参考になります。
5. 見積もりでの税金の扱い
物流会社の見積もりでは、関税・輸入消費税は「実費」「立替」として別に記載されることが一般的です。比較するときは、次の点を確認しましょう。
- 税金の見込み額を提示してもらえるか(概算か、確定か)
- 立替の可否と、立替手数料の有無・計算方法
- 税額が確定するタイミングと、請求の時期
見積もりの比べ方は見積もりの比較表テンプレートにまとめています。
6. よくある質問
関税が無税の品目でも、消費税はかかりますか?
原則としてかかります。課税価格に税率を掛けて計算します。
少額の貨物でも輸入消費税はかかりますか?
課税価格の合計額が1万円以下の貨物は、一部の品目を除き、関税・輸入消費税が免除される制度があります。対象外の品目や条件があるため、通関業者に確認してください。
食品なら必ず軽減税率ですか?
飲食料品が対象ですが、酒類は対象外です。食品と食品以外を組み合わせた商品などは、条件によって扱いが変わります。
参考情報と関連ガイド
税率・計算方法は確認日時点の制度に基づいています(確認日:2026年10月12日)。個別の取り扱いは、税関・税務署、通関業者や税理士にご確認ください。