輸出入の貨物は、税関に申告して許可を受けなければ、国内に引き取ったり海外へ送り出したりできません。この申告手続きを代行するのが通関業者です。「通関料はいくらが普通なのか」「見積もりに通関料以外の費用が並んでいて分かりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。

通関業者を選ぶときは、申告1件あたりの手数料だけでなく、検査や他の法令への対応、書類の確認、輸送との連携まで含めて比べることが大切です。この記事では、通関手数料の相場の目安と決まり方、見積もりの内訳、業者を比べるときの確認項目を解説します。

1. 通関業者の役割とフォワーダーとの関係

通関業者は、財務大臣(税関)の許可を受けて、荷主に代わって輸出入の申告や関連する手続きを行う事業者です。申告内容は通関士が審査します。主な業務は次のとおりです。

  • インボイスなどの書類をもとにした申告書の作成と、税関への申告
  • 品目の分類(HSコード)と、関税率・適用できる協定税率の確認
  • 税関からの質問への対応、書類審査・貨物検査への対応
  • 食品・医薬品・化学品などで必要な、他の法令に基づく許可・承認の確認

通関業者の多くは、輸送や倉庫の手配も行っています。フォワーダーに輸送を依頼すると、提携する通関業者や自社の通関部門で通関まで手配されることが一般的です。役割の違いはフォワーダーと乙仲の違いで詳しく解説しています。

2. 通関手数料の相場と決まり方

上限規制は廃止され、各社が料金を設定している

通関業務の料金には、かつて通関業法の基本通達で上限額が定められていました。2017年10月の見直しでこの上限額の定めは廃止され、現在は各社が自由に料金を設定しています。

ただ、実務では1995年に改定された旧上限額が、長く料金の目安として使われてきました。一般的な申告1件あたりでは、輸入申告11,800円、輸出申告5,900円という金額がよく知られています。

近年は料金を引き上げる動きがある

人件費の上昇や、経済連携協定の拡大などによる業務の複雑化を理由に、通関業務の料金を改定する会社が出てきています。例えば日本通運(NIPPON EXPRESSホールディングス)は、2026年1月受付分から通関申告などの基本料金を約25%引き上げると発表しました。

「輸入11,800円・輸出5,900円」は、現在の各社の料金を保証する金額ではありません。見積もりを比べるときは、申告1件あたりの基本料金に加えて、どのような場合に加算があるのかを確認しましょう。

加算・別料金になりやすい条件

  • 品目の数が多い、インボイスの記載から分類の確認に手間がかかる
  • 初めて申告する品目で、成分・用途の調査が必要
  • 他の法令に基づく許可・承認・届出の確認が必要
  • 経済連携協定(EPA)の税率を適用し、原産地に関する書類の確認が必要
  • 税関の検査があり、立会いや貨物の移動が発生する

3. 通関料以外に請求されやすい費用

通関に関する請求書には、申告の手数料以外の費用も並びます。見積もりの時点で、どの費用が含まれ、どの費用が「発生した場合のみ」なのかを確認しましょう。

通関に関連して請求されることがある費用
費用内容確認したいこと
通関手数料輸出入申告の作成・申告1件あたりの料金と加算の条件
関税・輸入消費税輸入時に納める税金業者の立替払いか、荷主が直接納付するか。立替の手数料
検査対応費用税関検査の立会い、検査場への貨物の移動検査になった場合の費用の目安
他法令の手続き費用食品の輸入届出など、他の法令に関する手続きの代行品目ごとに必要な手続きと代行の可否
書類作成・取扱費用書類の作成・確認、貨物の取扱い通関手数料に含まれる作業との違い

輸入の場合、通関手数料よりも関税・輸入消費税のほうが大きな金額になることがあります。税額の計算方法は輸入関税の計算方法、協定税率の使い方はEPA/FTAの活用ガイドをご覧ください。

4. 通関業者を選ぶときの確認項目

  • 取り扱う品目の経験:自社の品目、特に他の法令の確認が必要な品目の申告実績があるか。
  • 通関する港・空港:貨物が到着・出発する港や空港での手配に対応できるか。
  • 輸送との連携:通関だけを依頼するのか、港からの配送や倉庫作業もまとめて依頼するのか。
  • 事前の相談:品目の分類や、必要な許可・書類について、出荷前に相談できるか。
  • 連絡の速さと方法:書類の不備や検査の連絡が、誰から、どの方法で届くか。
  • 請求の分かりやすさ:費用の内訳、立替金、別途費用の条件が明記されているか。

通関の遅れは、港での保管料やコンテナの超過利用費に直結します。手数料が少し安くても、書類の確認や連絡に時間がかかると、総額では高くつくことがあります。追加費用の仕組みはデマレージ・ディテンションの解説をご覧ください。

5. 依頼時に用意する書類と依頼文例

  • インボイス(仕入書):品名、数量、単価、金額、取引条件。
  • パッキングリスト:梱包ごとの内容、重量、寸法。
  • B/L・AWB、または到着案内:輸入時の貨物の特定に使います。
  • 原産地証明書など:EPAの税率を適用する場合。
  • 品目の資料:カタログ、成分表、用途の説明。分類の判断に役立ちます。
  • 他の法令の書類:品目によって必要な許可・承認・届出の書類。

インボイス・パッキングリストの記載項目はインボイス・パッキングリストの解説、品目の分類はHSコードの解説で確認できます。

通関の見積もり依頼文例

下記の輸入貨物について、通関(および港からの配送)のお見積もりをお願いいたします。
品名:[例:ステンレス製の調理器具(食品に触れる製品)]/品目数:[5品目]
数量・金額:[カートン20個、インボイス金額 約〇ドル]
輸送:[海上LCL、〇〇港着予定〇月〇日]/配送先:[住所]
申告実績:[初めて輸入する品目]
通関手数料と加算の条件、関税・消費税の立替の扱い、他の法令に関する手続きの要否と費用、検査になった場合の費用をご提示ください。

食品に触れる器具など、他の法令の確認が必要な品目は、通関とは別の手続きに時間がかかることがあります。輸入見積もり全体の依頼項目は輸入見積もりの依頼ガイドをご覧ください。

6. よくある質問

通関業者に依頼せず、自社で通関することはできますか?

荷主自身が申告することもできます。ただし、品目の分類、税額の計算、他の法令の確認、税関とのやり取りを自社で行う必要があります。取引量や社内の体制を踏まえて判断しましょう。

通関だけを依頼することはできますか?

できます。輸送を別の会社に手配している場合は、貨物の引渡しや書類の受け渡しの方法を事前に決めておきましょう。輸送と通関を同じ会社にまとめると、連絡の手間が減る場合もあります。

通関手数料は交渉できますか?

料金は各社が設定しているため、取引量や依頼の内容によって相談できる場合があります。手数料だけを比べず、加算の条件や対応範囲を揃えて比較しましょう。

通関業者を変えるときに注意することは?

過去の申告で使った品目の分類や、他の法令の手続きの記録を引き継げるよう整理しておきましょう。切り替えの考え方はフォワーダーのスイッチングコストを抑える方法も参考になります。

参考資料

確認日:2026年9月28日。料金は各社の設定・依頼内容によって異なります。個別の見積もりで確認してください。