冷凍食品や水産物、青果、チルドの加工食品、温度管理が必要な医薬品・化学品。こうした貨物を海外へ送る場合、一般貨物と同じ感覚で手配すると、品質の劣化や想定外の費用につながります。

冷凍・冷蔵貨物の輸送では、「何度で運ぶか」に加えて、「積み込む時点で貨物が何度か」「港や倉庫で待つ間も温度を保てるか」まで計画することが大切です。この記事では、輸送方法の選び方と、見積もり依頼で伝えるべき条件を解説します。

1. 冷凍・冷蔵貨物の主な輸送方法

温度管理が必要な貨物は、主に海上輸送のリーファーコンテナか、保冷資材を使った航空輸送で運びます。

温度管理が必要な貨物の輸送方法
輸送方法特徴検討する場面
リーファーコンテナ(FCL)冷却装置付きのコンテナで、設定温度を保ちながら輸送まとまった数量の冷凍食品・水産物・青果など
冷凍・冷蔵の混載(LCL)温度帯ごとに貨物をまとめて輸送。対応できる航路・事業者が限られるコンテナ1本に満たない少量貨物
航空輸送保冷ボックス・蓄冷剤・ドライアイスなどで温度を保つ。短時間で輸送できる鮮度が重要な生鮮品、少量・高価格の貨物、サンプル

リーファーコンテナは冷凍から冷蔵、定温まで幅広い温度に対応します。例えばMaerskの40フィートハイキューブ標準リーファーは-35℃〜+30℃に対応すると案内されています。超低温が必要な貨物には、より低い温度に対応する特殊なコンテナもあります。使える機材・温度帯は船会社や航路で異なるため、見積もり時に確認しましょう。

航空輸送でドライアイスを使う場合、ドライアイスは航空輸送上の危険物として扱われ、量や梱包・表示に条件があります。事前にフォワーダーへ伝えてください。

「冷凍・冷蔵」以外にも温度管理が必要な貨物がある

チョコレート、ワイン、一部の化学品や電子部品など、凍らせる必要はなくても高温や温度変化に弱い貨物があります。赤道付近を通る航路や夏場の輸送では、コンテナ内が高温になることがあるため、リーファーコンテナを一定の温度に設定して運ぶ「定温輸送」も選択肢です。

2. リーファーコンテナで伝える温度・換気の条件

リーファーコンテナは、ブッキング時に指定した条件で運転されます。条件を伝えるのは荷主側の役割であり、指示があいまいなまま手配すると品質トラブルの原因になります。

  • 設定温度:摂氏で明記します(例:-18℃、+2℃)。「冷凍」「チルド」といった言葉だけで伝えず、数値で指定しましょう。
  • 換気(外気の取り込み):青果など呼吸する貨物では、コンテナ内のガスを外に出すために換気の設定が必要な場合があります。冷凍貨物では通常閉じて運びます。
  • 湿度:乾燥や結露に弱い貨物では、湿度の管理を指定できる機材もあります。
  • CA(コンテナ内の空気組成の管理):青果の熟成を遅らせる目的で使われます。対応できる機材・航路は限られます。

貨物に適した温度・換気条件は、品目や荷姿、輸送日数によって変わります。自社で基準がない場合は、製造元・仕入先の保管条件を確認したうえで、物流会社と相談して決めましょう。

3. 品質トラブルを防ぐ「予冷」と積み付け

リーファーコンテナは、積み込んだ時点の貨物の温度を保つための設備です。温かい貨物を短時間で冷やす能力は想定されていないため、貨物は積み込み前に設定温度まで冷やしておく(予冷する)のが基本です。

予冷が不十分なまま積み込むと、貨物から出る熱でコンテナ内の空気が温まり、設定温度まで下がらないことがあります。冷凍貨物では、一度温度が上がって再凍結すると品質が大きく損なわれる場合があります。

冷気の通り道をふさがない

リーファーコンテナは床面から冷気を送り、貨物の間を通して循環させる構造が一般的です。積み付けでは、次の点に注意します。

  • コンテナ内に表示された積載上限の高さを超えて積まない。
  • 床の送風路をふさぐようにシートや段ボールを敷かない。
  • 換気が必要な貨物では、通気孔のある箱やパレット積みで空気が通る隙間を確保する。

「港での待ち時間」も温度管理の対象

リーファーコンテナは、港のターミナルや船上で電源につないで冷却を続けます。国内のドレージ輸送中は発電機付きの車両などで電源を確保します。倉庫での積み込み、港への搬入、本船への積み込みまでの時間を短く計画し、温度記録の方法も決めておくと、トラブル時の原因確認に役立ちます。ドレージ輸送の仕組みはドレージの解説をご覧ください。

4. ドライコンテナにはない費用

冷凍・冷蔵貨物の見積もりでは、一般貨物の費用に加えて、温度管理に関する費用が加わります。名称や請求単位は会社によって異なるため、次の項目が含まれているかを確認しましょう。

  • リーファーコンテナの運賃:冷却装置付きの機材を使うため、同じサイズのドライコンテナより高くなるのが一般的です。
  • 電源供給・温度監視の費用:ターミナルでコンテナを電源につなぐ費用。日数に応じて請求される場合があります。
  • 冷蔵・冷凍倉庫の費用:保管、予冷、積み込み(バンニング)、取り出し(デバンニング)の作業費。
  • 国内輸送の割増:発電機付きの車両や保冷車の手配費用。
  • 温度記録:データロガー(温度記録計)の手配費用。

冷凍・冷蔵貨物は、港での滞留が長引くと電源供給料や保管料に加え、コンテナの超過利用費もかかりやすくなります。輸入では、書類や検査の準備を早めに進めることが費用の抑制にもつながります。詳しくはデマレージ・ディテンションの解説をご覧ください。

貨物保険の補償範囲を確認する

温度管理が必要な貨物では、冷却装置の故障や温度の逸脱による損害が補償の対象になるかを、保険の条件で確認しておきましょう。一般的な貨物保険の条件だけでは、想定した損害が補償されない場合があります。

5. 証明書・検査など、貨物ごとの確認事項

食品・農水産物・医薬品などは、輸送とは別に、輸出入の規制や手続きの確認が必要です。

  • 輸出する場合:輸出先の国が求める衛生証明書、植物検疫・動物検疫の証明書、原産地証明書などが必要な場合があります。品目や国によって要件が異なるため、早めに確認しましょう。
  • 日本へ輸入する場合:販売・営業に使う食品などは、食品衛生法に基づく輸入の届出が必要です。植物・動物由来の品目では検疫の対象になることがあります。
  • 表示・成分:成分や添加物、ラベル表示に輸出先の規制がある場合、港で止まる原因になります。

検査や書類の不備で港に留め置かれると、温度管理の費用が日々かかります。規制の確認方法は輸出許可申請のガイド、品目の分類はHSコードの解説も参考にしてください。

6. 見積もり依頼で伝える項目

温度管理が必要な貨物は、条件が一つ抜けるだけで対応できる会社や金額が大きく変わります。次の項目を揃えて依頼しましょう。

  • 貨物:品名、荷姿、梱包後の寸法・個数・総重量、パレットの有無。
  • 温度条件:設定温度(摂氏)、許容できる温度の幅、換気・湿度の要否。
  • 出荷時の状態:予冷済みか、冷蔵・冷凍倉庫から出荷するか、倉庫でのバンニングが必要か。
  • 区間・日程:出荷地、仕向地(港・納品先)、出荷可能日、賞味期限や販売日から逆算した必着日。
  • 書類・手続き:必要な証明書、通関の要否、貨物保険の要否。

冷凍貨物の見積もり依頼文例

下記の冷凍貨物について、リーファーコンテナでの海上輸送のお見積もりをお願いいたします。
品名:[例:冷凍水産加工品]/荷姿:[カートン、パレット積み]
数量:[例:40ft 1本分、総重量〇kg]
設定温度:[-18℃以下]/換気:[不要]
出荷元:[冷凍倉庫の住所。予冷済みで出荷]
仕向地:[国・港・納品先]/出荷可能日:[日付]/必着日:[日付]
範囲:[例:倉庫でのバンニング・輸出通関・海上運賃まで]
電源供給料の計算方法、フリータイム、別途費用、見積有効期限をあわせてご提示ください。

少量で航空輸送も候補になる場合は、「航空輸送の案も希望」と添えると、費用と日数を比較できます。コンテナの種類ごとのサイズはコンテナサイズの解説で確認できます。

7. よくある質問

少量の冷凍食品でもリーファーで輸送できますか?

冷凍・冷蔵の混載サービスを利用できる航路もありますが、一般貨物の混載と比べて対応できる事業者・航路が限られます。数量が少ない場合は、航空輸送や、コンテナ1本で運ぶ場合の総額とあわせて比較しましょう。

リーファーコンテナで温度が上がった場合、誰の責任になりますか?

原因によって異なります。設定温度の指示ミス、予冷不足、積み付けの問題、冷却装置の故障などが考えられるため、ブッキング時の指示内容と温度記録を保管しておきましょう。損害に備えて貨物保険の補償範囲も確認してください。

常温の食品でもリーファーを使ったほうがよいですか?

必須ではありませんが、高温で品質が変わる貨物や、夏場・暑い地域を通る輸送では検討する価値があります。費用が上がるため、品質上のリスクと比較して判断しましょう。

冷凍・冷蔵貨物に対応できるフォワーダーはどう探せばよいですか?

冷凍・冷蔵貨物の取扱実績、利用できる冷蔵倉庫、対応航路を確認しましょう。選び方の観点はフォワーダーの選び方で解説しています。複数社に同じ条件で見積もりを依頼すると、対応範囲の違いも比較できます。

参考資料

確認日:2026年9月28日。対応温度・機材・費用は船会社・航路・物流会社によって異なります。個別の見積もりで確認してください。