食品を販売や営業に使う目的で輸入するときは、関税の手続きとは別に、食品衛生法に基づく輸入届出が必要です。食品そのものだけでなく、食器・調理器具・食品の容器包装、乳幼児が口にする一部のおもちゃなども届出の対象になります。

食品の輸入では、①輸入できる品目か、②届出に必要な資料が揃うか、③検査や検疫の期間をどう見込むか、を仕入れ前に確認することが大切です。到着後に原材料や添加物の問題が見つかると、販売できないまま保管料がかかったり、積み戻しや廃棄が必要になったりすることがあります。

1. 届出が必要なもの

販売や営業上の使用を目的として輸入する場合、次のようなものが食品衛生法に基づく輸入届出の対象になります。

  • 食品・添加物:加工食品、農産物、水産物、飲料、調味料、サプリメントなど。
  • 器具:食器、調理器具、食品の製造に使う機械の部品のうち食品に接するもの。
  • 容器包装:食品を入れる容器やラップ、包装材など。
  • おもちゃ:乳幼児が接触することで健康を損なうおそれがあるとして指定されたもの。

サンプルや展示会用の品でも、販売・営業に使う場合は届出が必要になることがあります。判断に迷う場合は、検疫所の輸入食品相談窓口に相談してください。

2. 輸入届出から通関までの流れ

  1. 輸入届出:貨物の到着後(または到着前の事前届出)に、輸入地を管轄する検疫所へ届け出ます。多くは通関業者が電子システムで代行します。
  2. 書類審査:原材料、添加物、製造方法などが日本の基準に合うかを審査します。
  3. 検査:必要に応じて検査が行われます。検査の結果が出るまで貨物を動かせない場合もあるため、日数と保管費用を見込んでおきます。
  4. 届出済証の交付:審査・検査に問題がなければ交付され、輸入通関の手続きに進みます。

検査には、国が行うモニタリング検査、違反の可能性が高い品目に対する命令検査、輸入者が自主的に行う指導検査などがあります。命令検査の対象になると、検査費用は輸入者の負担となり、結果が出るまで貨物を出せません。制度の概要は厚生労働省の輸入食品監視業務の案内で確認できます。

同じ食品を継続して輸入する場合は、計画輸入制度を利用して手続きを簡素化できる場合があります。

3. 仕入れ前の事前相談で用意する資料

初めて輸入する食品は、仕入れを決める前に検疫所へ事前相談すると安心です。日本で使えない添加物や、基準を超える成分が含まれていないかを確認できます。

事前相談で用意する資料の例
資料内容確認される主な点
原材料表すべての原材料と配合割合使用できない原料、アレルギー表示の準備
添加物の一覧着色料・保存料・香料などの名称と使用量日本で使用できる添加物か、使用基準を超えていないか
製造工程表加熱・殺菌・冷凍などの工程と条件製品の区分ごとの製造基準への適合
材質の資料(器具・容器包装)樹脂・金属・陶磁器などの材質、塗装材質ごとの規格への適合

海外の仕入先は、日本の基準を前提に資料を作っていないことがほとんどです。資料の作成には時間がかかるため、発注前に依頼しましょう。

4. 植物検疫・動物検疫との関係

食品衛生法の届出とは別に、品目によって次の検疫が必要です。

  • 植物検疫:生の果物・野菜、穀物、豆、ナッツ、香辛料の原料などは、植物防疫所での検査が必要です。病害虫の侵入を防ぐため、国・地域と品目によっては輸入が禁止されているものもあります。
  • 動物検疫:肉類、ハム・ソーセージなどの肉製品、乳製品の一部などは、動物検疫所での検査や、輸出国の政府機関が発行する検査証明書が必要です。

検疫で不合格になると、消毒・積み戻し・廃棄が必要になります。輸出国の検査証明書の書式は国ごとに決まっているため、仕入先に事前に確認してもらいましょう。

5. 輸送・保管の準備

  • 温度管理:冷凍・冷蔵品はリーファーコンテナや定温倉庫を使います。設定温度と、到着後の保管場所を事前に決めておきます。詳しくはリーファー輸送の解説をご覧ください。
  • 検査期間中の保管:検査の結果が出るまで、保税倉庫などで保管する費用と日数を見込みます。
  • 混載での注意:LCLでは、においや汚れが他の貨物と移らないよう、梱包と積付けの条件を伝えます。

見積もりを依頼するときは、品名と温度帯、検疫・届出の要否を伝え、届出の代行や検査立ち会いに対応できるかも確認しましょう。

6. 表示・酒類などその他の確認

  • 食品表示:日本で販売する前に、食品表示法に沿った日本語の表示が必要です。輸入者の名称・所在地の記載も求められます。
  • 酒類:販売するには酒類販売業免許が必要です。輸入時には酒税と消費税がかかります。
  • 関税・消費税:食品は軽減税率(8%)の対象となる場合がありますが、酒類は対象外です。輸入消費税の解説もご覧ください。

7. よくある質問

サンプルを少量輸入する場合も届出は必要ですか?

販売・営業に使う目的があるかで判断されます。社内での試食・評価用など、状況によって扱いが変わるため、検疫所に相談してください。

届出は自分でできますか?

輸入者自身でも行えますが、通関とあわせて通関業者が代行することが一般的です。書類の準備は輸入者が仕入先と連携して行います。

海外で販売されている食品なら、日本でもそのまま売れますか?

添加物や成分の基準は国ごとに異なり、海外で使える添加物が日本では使えない場合があります。仕入れ前に原材料と添加物を確認しましょう。

参考情報と関連ガイド

制度の情報は厚生労働省の公開資料を参照しています(確認日:2026年10月12日)。手続きの詳細は、輸入地を管轄する検疫所・植物防疫所・動物検疫所の最新の案内をご確認ください。

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