共同海損とは、船と積荷が共通の危険にさらされたときに、全体を救うために意図的に行った処分や支出を、船主と荷主が公平に分担する制度です。自社の貨物に損害がなくても、同じ船に積んでいた荷主は費用の分担を求められます。

共同海損が宣言されると、荷主は分担を保証する書類を提出しないと、貨物を引き取れないことがあります。貨物保険を掛けているかどうかで、荷主の負担と手続きが大きく変わります。

1. 共同海損の仕組み

海上輸送では、船と積荷が一緒に危険にさらされることがあります。そのとき、全体を救うために一部の貨物を海に投げ捨てたり、救助を依頼したり、避難港に入ったりした場合の損害・費用は、その処分や支出によって助かったすべての関係者で分担します。

分担の割合は、到着時の船と貨物の価値などに応じて計算されます。計算の規則としては、国際的な規則であるヨーク・アントワープ規則が広く使われ、B/Lの約款でも適用が定められているのが一般的です。精算は専門の精算人が行い、確定までに数年かかることもあります。

2. 共同海損になる例

  • 船上の火災を消すために注水し、他の貨物が濡れた
  • 座礁した船を浮かせるために、救助会社に引き揚げを依頼した
  • 機関の故障で避難港に入り、修理の間の費用が発生した
  • 船を軽くするために、一部の貨物を投棄した

大型コンテナ船の事故では、数千社の荷主が関係することもあります。自社の貨物が無事でも、同じ船に積んでいれば分担の対象になります。

3. 宣言後に荷主がすべきこと

船主が共同海損を宣言すると、精算人から荷主に対して、貨物を引き渡すための条件が通知されます。主に次の書類や担保が求められます。

共同海損の宣言後に求められる主な書類
書類内容提出する人
共同海損盟約書(Average Bond)精算の結果に従って分担金を支払うことを約束する書類荷主(荷受人)
共同海損分担保証状(Average Guarantee)荷主の分担金の支払いを、保険会社が保証する書類貨物保険の保険会社
共同海損供託金保険がない場合に、分担金の見込み額を現金で預ける荷主
インボイス・価額の申告分担の計算に使う貨物の価値を示す資料荷主

救助(サルベージ)が行われた場合は、救助会社への担保の提供も別に求められることがあります。通知を受けたら、すぐに保険会社やフォワーダーに連絡しましょう。

4. 貨物保険の有無による違い

  • 保険を掛けている場合:保険会社が分担保証状を発行し、分担金も補償の範囲で保険会社が支払うのが一般的です。荷主は保険会社と連携して書類を提出します。
  • 保険を掛けていない場合:荷主が自ら供託金を用意する必要があります。供託金は貨物価額のかなりの割合を求められることがあり、支払うまで貨物を引き取れないため、資金繰りと納期に大きな影響が出ます。

ICC(A)(B)(C)のいずれの条件でも、共同海損の分担金は補償の対象とされるのが一般的です。保険の条件は貨物保険の解説をご覧ください。

5. 日頃からできる備え

  • 保険の手配者を確認する:FOBやCFRで輸入する場合、保険は輸入者が手配します。「相手が掛けているはず」と思い込まないことが大切です。
  • 保険証券をすぐに出せるようにする:案件ごとに保険証券・インボイス・B/Lを保管しておくと、事故の際に迅速に対応できます。貿易書類の管理方法も参考になります。
  • 代替の調達を考えておく:精算や引き取りに時間がかかる場合に備え、重要な部品は別の調達先や在庫を検討します。

6. よくある質問

自社の貨物に損害がなくても分担金を払う必要がありますか?

はい。共同海損は、救われたすべての関係者で分担する制度のため、損害の有無にかかわらず分担の対象になります。

航空貨物にも共同海損はありますか?

共同海損は海上輸送の制度です。シーアンドエアの場合は、海上の区間で対象になる可能性があります。

分担金はいつ確定しますか?

精算人が関係者の情報を集めて計算するため、確定までに長い期間がかかることがあります。それまでは保証状や供託金で担保します。

参考情報と関連ガイド

本記事は共同海損の一般的な仕組みを説明するものです(確認日:2026年10月12日)。個別の対応は、保険会社・精算人・フォワーダーの案内に従ってください。

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